本事業の取り組みに関して、定期的にPDCAに基づく自己評価を行い、進捗の管理を研究者間で共有しています(ガイドライン作成チーム会合を毎月1回開催)。事業年度ごとの自己評価を下記に開示しています。
R5年度達成度評価
R5年度では、設定された27のヘルスケアクエスチョン(HQ)について相対的重要度を参考にシステマティックレビュー(SR)およびトレンドリサーチ(TR)を各班で実施するとともに、SRセミナーを継続開催しました。主な取り組みフェーズを下図に示します。
エビデンスとしての「答え」を提供するSR系のHQ原稿(SR-article)はMinds参照型の評価プロセスを援用し、推奨度カテゴリーの評価/推奨の評価/エビデンス総体の質評価などのプロセスを経て質保証をはかる形で開発を進めます(下図(4-1))。一方で、開発企業などのサービス事業者が参照したいデジタルヘルステクノロジー(DHT)の動向、周辺領域の情報、各種生体情報センシング技術の実践応用上の限界や注意点などのTR系のHQ原稿(TR-article)は、よりタイムリーさが求められるため、アジャイル型開発を採用しました(下図(4-2))。
R5年の取り組みフェーズ
R5年度の到達点および具体的な達成度の判断基準は以下の通りです。
今年度の到達点としては、「Minds参照型の評価プロセスによるSR-articleの作成およびアジャイル型開発によるTR-articleの公開・運用が開始されること」が到達点目標でした。そのために必要な取り組みやステークホルダとの情報共有機会など、個々の判断基準別に達成度を評価したものが下表です。おおむね当初通りの目標を達成できています。
R5年度の到達点・達成度の判断基準
到達点 | ||
---|---|---|
Minds参照型の評価プロセスによるSR-articleの作成およびアジャイル型開発によるTR-articleの公開・運用が開始されること | ||
R5年度における達成度の判断基準 | 達成度評価欄 | 概 説 |
1.Minds参照型の評価プロセスによるSR-articleの作成 | ||
1-1:SRの実施 | ■■■□ 075% | ・SRチーム(今村班・金森班)によるSR実施 ・UMIN登録済、一次スクリーニング:19,0931件 |
1-2:推奨の作成 | ー | ・SR結果を踏まえ、推奨のあり方を検討 ・推奨作成セミナを計画 |
1-3:SR/MAの若手人材育成セミナーの実施 | ■■■■ 100% | 6回開催済 |
2.アジャイル型開発の推進・運営に必要となる基盤の整備 | ||
2-1:ウェブサイトのコンテンツマネジメント基盤整備 | ■■■■ 100% | ・データベース部のプログラミング構築済 |
2-2:TR-articleのフォーマット決定 | ■■■■ 100% | |
2-3:外部評価とステークホルダ評価実施方法・評価基準の体制整備 | ■■□□ 050% | ・外部評価項目、ステークホルダ評価項目の決定および運用体制の整備→統括運営グループ会合への照会 |
3.TR-article記事の作成・公開・運用 | ||
3-1:TR-articleの作成・公開 | ■■■□ 080% | ・TRチーム(榎原班・江口班)によるTR実施 ・4記事作成中 |
3-2:TR-article の定期見直し体制のトライアル | ー | |
4.その他 | ||
4-1:統括運営グループ会合の開催(オンライン・メール審議にて1回以上) | ■■■■ 100% | |
4-2:ガイドライン作成チーム会合の開催(3回以上) | ■■■■ 100% | ・月1回程度開催(計14回開催) |
4-3:PS/PO進捗会議の開催(2回) | ■■■■ 100% | ・7/31、2/19開催済 |
4-4:関連学会でのシンポジウム企画等の実施(2回以上) | ■■■■ 100% | 別欄参照 |
4-5:成果公表(学術論文・寄稿など) | ■■■■ 100% | 別欄参照 |
学術成果公表(学術論文・寄稿など)
- 金森 悟, 小島原 典子, 江口 尚, 今村 幸太郎, 榎原 毅「デジタルヘルス・テクノロジ介入による労働者のメンタルヘルスへの効果および介入の脱落・遵守 ―スコーピングレビュー」産業精神保健、31(2):105-113, 2023
- Naomichi Tani, Hiroaki Fujihara, Kenji Ishii, Yoshiyuki Kamakura, Mafu Tsunemi, Chikae Yamaguchi, Hisashi Eguchi, Kotaro Imamura, Satoru Kanamori, Noriko Kojimahara, Takeshi Ebara. What digital health technology types are used in mental health prevention and intervention? Review of systematic reviews for systematization of technologies. Journal of Occupational Health, uiad003, 2023, https://doi.org/10.1093/joccuh/uiad003
- Hisashi Eguchi, Noriko Kojimahara, Satoru Kanamori, Kotaro Imamura, Naomichi Tani, Takeshi Ebara. The use of digital health technology to provide mental health services for employees in Japan, Environmental and Occupational Health Practice, 2023-0016-CT, 2023
- Naomichi Tani, Chikae Yamaguchi, Mafu Tsunemi, Hiroaki Fujihara, Kenji Ishii, Yoshiyuki Kamakura, Takeshi Ebara. Ergonomic strategies for Digital Occupational Health: Preparing for the oncoming wave of technological innovation. Environmental and Occupational Health Practice, (minor revision)
学会発表・シンポジウム開催・招待講演
- 榎原 毅「人間工学から考えるデジタルヘルステクノロジの普及による健康確保の新発想」厚生労働省「新しい時代の働き方に関する研究会」講演(講演内容の一部でAMED事業についても話題提供), 2023/4/27
- 第96回産業衛生学会 学術委員会企画シンポジウム「多学会連携によるデジタルヘルス・テクノロジ(DHT)を活用したメンタルヘルス予防介入ガイドラインの策定」2023/5/12 (座長:堤明純、榎原毅、登壇者:榎原毅、江口尚、今村幸太郎、小島原典子、指定発言:井上幸紀、赤津順一)
- 日本人間工学会第64回大会 企画セッション「デジタルテクノロジーを活用したメンタルヘルスケアと人間工学 -生理心理計測の応用可能性と技術課題-」2023/9/8 (登壇者:榎原毅、谷直道)
- 「職域における心の健康関連サービス活用に向けた研究会 第2回サービス提供事業者部会(DMH)」経済産業省・令和5年度ヘルスケア産業基盤⾼度化推進事業 講演(榎原班AMED事業について情報提供), 2023/9/1
- Hisashi Eguchi, Noriko Kojimahara, Satoru Kanamori, Kotaro Imamura, Naomichi Tani, Takeshi Ebara. Suggested Definition of Digital Mental Health Technology in the Japanese Context. UOEH International Symposium 2023, 2023/10/13-14, Fukuoka, Japan (Poster presentation)
- Naomichi Tani, Hiroaki Fujihara, Kenji Ishii, Yoshiyuki Kamakura, Mafu Tsunemi, Chikae Yamaguchi, Takeshi Ebara. Proposal of digital phenotype-based technology categories in mental health field. UOEH International Symposium 2023, 2023/10/13-14, Fukuoka, Japan (Poster presentation)
- 榎原 毅「デジタルヘルステクノロジーの現状と未来」健康管理研究協議会 第61回総会基調講演(2023/11/18,online)
- 榎原 毅, 酒井一輝, 谷 直道, 藤原広明, 山田泰行「デジタイゼーションとデジタライゼーション — 人間工学における科学コミュニケーションのリサーチイシュー —」令和5年度日本人間工学会北海道支部大会(2023年11月25日,於:小樽商科大学)
- 江口 尚「産業保健におけるデジタルメンタルヘルスー利用実態とステークホルダーニーズー」日本労働科学学会2023 年度秋部会(2023/12/2 online)
- 谷 直道「産業精神保健におけるデジタルヘルステクノロジー:人間工学的視点から見たテクノロジーの体系的整理と技術動向」第64回産業精神衛生研究会(2024年01月27日、於:北九州)
- JaDHA WG4(デジタルヘルスアプリの適切な選択と利活用を促す社会システム創造WG)勉強会 話題提供
多様なステークホルダとの意見交換
- 経済産業省ヘルスケア産業課
- 株式会社サイバーエージェント
- R5年度AMED事業課題(循環器)・聖路加国際大学(PI:水野篤先生)
- R4年度AMED事業課題(働く女性)・秋田大学(PI:野村恭子先生)
- JST/COI-next事業(メタケアシティ)・横浜市立大学(PI:宮﨑智之先生)
- 株式会社アイシン
- JaDHA 日本デジタルヘルス・アライアンス
- 田辺三菱製薬株式会社
R4年度達成度評価
R4年度では、本事業の組織体制、すなわち関連学会間との情報共有を図る統括運営グループ会合、各システマティックレビュー(SR)チームの組織化、などを確立しました。トレンドリサーチ(TR)チームでは技術動向の調査の枠組みの検討およびステークホルダの組織化などを進めました。また、作成チーム会合にて、27のヘルスケアクエスチョン(HQ)および本事業で扱うレビューの対象範囲(スコープ)についての議論を重ねました。主な取り組みフェーズを下図に示します。
R4年度の到達点および具体的な達成度の判断基準は以下の通りです。
今年度の到達点としては、「各ステークホルダのニーズに対応したヘルスケアクエスチョン(HQ)の設定とスコープ案が策定されていること」が到達点目標でした。そのために必要な取り組みや手続きなど、個々の判断基準別に達成度を評価したものが下表です。おおむね当初通りの目標を達成できています。
R4年度の到達点・達成度の判断基準
到達点 | ||
---|---|---|
各ステークホルダのニーズに対応したヘルスケアクエスチョン(HQ)の設定とスコープ案が策定されていること | ||
R4年度における達成度の判断基準 | 達成度評価欄 | 概 説 |
①組織体制の構築とチームビルディング | ||
①-1:統括運営グループ会合の開催(2回以上) | ■■■■ 100% | |
①-2:ガイドライン作成チーム会合の開催(3回以上) | ■■■■ 100% | ・11/2, 12/13, 2/25 |
①-3:PS/PO進捗会議の開催(2回) | ■■■■ 100% | ・11/4, 2/13 |
①-4:R5年度以降の関連学会でのシンポジウム等の企画立案 | ■■□□ 050% | ・2023/5/12(第96回産衛学会シンポ) |
②DHTの体系分類・技術動向・現状把握と提供価値の明確化 | ||
②-1:各ステークホルダ別のDHT体系の分類レポートの作成と共有 | ■■□□ 050% | ・技術シーズ調査(研究者ヒアリング)+技術動向調査 ・班会合:10/18, 2/2開催、HQ案の提案 ・HQ-articleとしてレポート草案作成着手 |
②-2:DHTの技術動向レポートの作成と共有 | ||
②-3:DHTサービスに対する現状把握および提供価値情報のレポート作成と共有 | ■■■□ 075% | ・サービス事業者/産業保健スタッフ/研究者のステークホルダ会議開催・ニーズヒアリング実施、HQ案の提案 |
②-4:サービス利用者調査結果のレポート作成と共有 | ■■■■ 100% | ・IRB受審・承認、調査計画立案、調査実施(2月下旬~) |
②-5:PPI(市民参画機会)の設置と意見交換(シンポジウム等、R4年度1回以上) | ■■■■ 100% | ・産業保健人間工学会第27回大会シンポ(10/15) ・日本労働科学学会秋部会(12/10) |
③HCQとスコープ案の作成 | ||
③-1:各ステークホルダのニーズに対応したHQの設定とスコープ案の作成 | ■■■■ 100% | ・HQ一覧(案) 2023/2/9 ver1.1作成 ・関連学会から追加項目・要望などの意見徴収実施 ・HQ案は定期的に見直し、必要に応じて追加可 ・メンタルヘルスに対する“組織介入”の方法論一次スクリーニング ・WHOメンタルヘルスガイドライン調査(今村班) ・スコーピングサーチの実施(金森班) |
③-2:Background question / Good Practice Statementの整理 | ||
③-3:PoC(Proof of Concept)の評価の実施 | ■■■■ 100% | ・スコーピング・サーチ(簡易系統レビューを実施)実施、どの程度の文献を抽出可能か、前段階検証。HQをSR articleとTR articleで分類整理 ・相対的重要性評価(SR/TRの対象とするかの評価、10段階評価)を実施頂く(~2月末) |
④その他 | ||
④-1:本研究開発課題のwebサイトの立ち上げと運用着手 | ■■□□ 050% | ・サーバー環境の整備(日本産業生成学会内ドメイン設定) ・ウェブサイトの基盤構築(CMS):3月中旬 |
④-2:SR/MAの若手人材育成セミナーの準備とプログラムの開発 | ■■■■ 100% | ・SRセミナー企画案策定(2022/2~2023/2) |
④-3:成果公表 | ■■□□ 050% | ・日本産業精神保健学会「産業精神保健」31巻2号(2023年6月20日発行予定)にScoping review結果を寄稿 |
学術成果公表(学術論文・寄稿など)
なし
学会発表・シンポジウム開催・招待講演
- 石井賢治、榎原 毅「シンポジウム:持続可能社会に資する人間工学 -デジタルヘルスがもたらすイノベーションと近未来労働環境デザインの課題-」シンポジウム、産業保健人間工学会第27回大会(2022/10/15、於:玉川大学)
- 石井賢治「デジタルヘルス・テクノロジーの発展と課題」講演、日本労働科学学会秋部会(2022/12/10、オンライン開催)
- 榎原 毅「セッション:ヘルスケアサービスの予防・健康づくりの指針等の方向性の検討 ~メンタルヘルスをテーマとしたデジタルヘルスの事例として~」パネリスト登壇、第2回予防・健康づくり領域の社会実装に向けたシンポジウム(2023/3/1、於:大手町サンケイプラザ)