HQ_25 DHTの学術研究のトレンドはどのようになっているの?
本記事の対象者 (●)サービス利用者向け(個人ユーザ・産業保健スタッフなど) (●)サービス事業者向け(開発企業・サービス提供関係者) (● )学術関係者・行政担当者向け
要約
デジタルヘルステクノロジ(DHT)分類である11の技術領域の研究動向を米国電気電子学会のデータベースを使って 調べました。近年、最も研究が活発になっているのは音声感情解析で、次に運動・身体活動、そして脳波デバイスとなっていました。今後は、メンタルヘルス領域サービスへの活用が期待されます。
1.何を調べたの?
私たちは、これまでの研究でメンタルヘルスに活用されている(あるいは活用が期待される)デジタルヘルステクノロジ(DHT)を11の技術領域に分類しました ※1 。 今回の分析では、この11技術領域でどの分野の研究が活発になっているか、その傾向を探りました。 一般的に研究活動が活発になると論文数が増える傾向にあります。そこで米国電気電子学会のデータベース(IEEE)を使用して、11技術領域ごとの論文数を調べてみました。
2.どんなことが分かったの?
2003年から2022年までに発表された技術関連の論文数を調べたところ、20年間で最も論文数が多かったカテゴリーは、音声・感情解析(n=106,427)、次いで運動・身体活動(n=36,939)、脳波デバイス(n=17,417)、心拍推定(n=14,256)、アバター・メタバース(n=7,620)、 コミュニケーションロボット(n=5,865)、睡眠推定(n=4,387)、心理的安全性(n=1,315)、非接触心拍・脈波推定(n=670)、食事管理(n=601)、セルフケア・認知行動療法・マインドフルネス(n=267)、その他(n=139,074)となっていることがわかりました(図1)。
図 1 デジタルヘルステクノロジ11技術領域の研究動向※2
3.この記事はどんな役に立つの?
DHTの研究動向から、音声感情解析技術が急速に増加していることがわかりました。今後、開発・提供されるサービスには音声や表情などからストレス状態を予測するアプリやツールなどのリリースが増えてくるかもしれません。 一方で、これらの技術の妄信するにはまだまだ不確定な要素が多くあります。例えば、「AIの判定だから間違いない」というような受け取り方をする利用者もいるかもしれません。サービス利用者、とくにエンドユーザーや産業保健スタッフはDHTに関するリテラシーを養い、早期に対策を立てて置く必要があります。
1.本記事に対する関連学会関係者による専門家評価
簡易チェック項目 評定%
①HQ(目的)は具体的に記載されているか
100%
②本内容の適用対象集団(ステークホルダ)は明確に示されているか
88%
③利害関係者の参加 (TR-article作成にあたり関係者の関与、関係者の要望・価値観を抽出してTR-articleに反映しているか)
100%
④系統的な抽出方法 (検索式・検索方法の開示、選択基準の開示)
100%
⑤提供する情報の利益およびリスクの考慮
63%
⑥情報の明確さ (曖昧、誤解表現がないか、多面的な視点から記載されているか)
75%
⑦適用可能性(ステークホルダに有益な情報か、経済性など)
88%
⑧編集の独立性 (資金源によりarticleは影響されていないか、COI開示されてるか)
100%
⑨改訂方針が示されているか
100%
⑩バージョン管理情報 (適切にアーカイブされているか)
100%
⑪原案作成者の情報およびarticle情報は適切に開示されているか
100%
2.本記事に対する関連学会関係者による専門家評価
<現在、評価中>
3.本記事の調査方法
本記事における文献レビューに用いたデータベースは以下の通りです。検索式について知りたい方は引用※2のサプリメンタリーデータをご確認ください。
■米国電気電子学会データベース The Institute of Electrical and Electronics Engineers (IEEE) databasehttps://www.ieee.org/
4.引用・参考情報 source
※1: Tani N, et al. What digital health technology types are used in mental health prevention and intervention? Review of systematic reviews for systematization of technologies. J Occup Health. 2024 Jan 4;66(1):uiad003. doi: 10.1093/joccuh/uiad003 . ※2: Tani N, et al. Ergonomic strategies for Digital Occupational Health: Preparing for the oncoming wave of technological innovation. Environ Occup Health Practice. 2024; 6: eohp.2023-0028-CT. https://doi.org/10.1539/eohp.2023-0028-CT .
5.記事作成者/COI 開示(経済的・非経済的)
谷直道、榎原毅(産業医科大学)※COIの情報は他のページにて開示しています。
6.公開情報・改訂情報
公開日: 20234年 9 月11日
改訂予定(定期見直し時期): 未定
記事 version 履歴と主な改訂内容: ver1.0(2024年 9 月11日)
改訂方針: 半年ごとの定期見直し方式
本記事に対するステークホルダによる外部評価(TR)
※平均スコア 回答者(n=1)