Future Research Question 8「現状の産業保健制度の中にデジタルメンタルヘルスをどのように普及実装させていくのかパートナーシップ連携による基盤整備の必要性」
現在、経済産業省の心の健康に関する取り組みとして、デジタルメンタルヘルスサービスを普及実装させるべく、職域における心の健康関連サービス活用に向けた議論がすすめられています※1。この取り組みの一環として、国内のメンタルヘルス関連サービスの選択支援ツールなどの検討も進められています※1。また、デジタルヘルスの環境整備を目指した業界横断的な民間団体として日本デジタルヘルス・アライアンス(JaDHA)なども組織され※2、デジタルヘルスツールの社会実装が進んでいます。
一方で、現在普及しつつあるデジタルメンタルヘルスサービスはいわゆるSaMD認証ではないことから、サービス提供内容(例えばアプリケーション)が独立してメンタルヘルス疾患の診断・治療ができるわけではないことは、いわずもがなです。特に職域においては、産業保健専門職の判断補助としてどのように普及させるべきか産官学連携による検討が必要です。
具体的には、ストレスチェック制度への応用可能性、パーソナルヘルスレコード(PHR)との連携の必要性、従業員の健康関連情報の取扱いに関する法整備、産業保健分野での最適なビジネスモデル(使用者に効果が現れたら対価を支払うといった対価支払型ビジネスモデル、寄付型、広告収益型など)などについての検討が必要です。また、パートナーシップ連携に必要な事項として、データフォーマットの標準化(例えば、A社、B社、C社とも共通する最低限の情報)も必要です。
■引用文献
- 経済産業省. 心の健康に関する取組について. https://www.meti.go.jp/policy/mono_info_service/healthcare/mentalhealth.html
- 日本デジタルヘルス・アライアンス. https://jadha.jp/index.html