Future Research Question 6「組織介入型デジタルメンタルヘルスプログラム開発の必要性」
WHOの「職場のメンタルヘルス対策ガイドライン」では、メンタルヘルスへの普遍的な組織介入の必要性が謳われており、参加型職場改善アプローチなどの介入が条件付き推奨となっています※1。また、我が国のメンタルヘルス研究においても参加型職場改善アプローチの有効性が報告されています※2。しかしながら、現在のデジタルメンタルヘルスにおけるアプリケーションなどは個人向けプログラムとなっており、組織介入型のプログラムは見当たりません。今後、参加型職場改善アプローチなどの組織介入型のアプリケーションを開発するにあたっては次のようなプロセスを検討する必要があります。
1.デジタルヘルス・テクノロジ(DHT)に対応する組織介入の定義
従前より実施されている参加型組織介入の定義については、近年整理が進みつつありますが※3、一方でDHTを用いた組織介入については定義がなされていません。実際の介入プログラム開発にあたり、DHT組織介入の定義づけが必要となります。
2.組織介入型プログラムの類型化・分類化
DHT組織介入の定義付がなされた後には、組織介入型プログラムの類型化や分類化が必要とります。例えば、いわゆる参加型職場改善におけるファシリテーターがDHTを使用して介入を行うパターン、参加者側がアバターとなりメタバース内でグループを形成し「みんチャレ」を行うパターンなど、どのような技術を誰が使用した組織介入となるのか、ある程度の概念化が必要でしょう。
■引用文献
- World Health Organization (WHO). Guidelines on mental health at work. 2022. https://www.who.int/publications/i/item/9789240053052
- Tsutsumi A, Nagami M, Yoshikawa T, et al. Participatory intervention for workplace improvements on mental health and job performance among blue-collar workers: a cluster randomized controlled trial. J Occup Environ Med. 2009;51(5):554-563. doi:10.1097/JOM.0b013e3181a24d28
- Sakuraya A, Iida M, Imamura K, et al. A proposed definition of participatory organizational interventions. J Occup Health. 2023; 65(1): e12386. doi:10.1002/1348-9585.12386